陶彩画とは

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陶彩画とは

陶彩画とは

陶彩画とは、一言で言えば、有田焼の工法を用いた焼物の絵画です。

作家・草場一壽が「いのち」をテーマに、鮮やかで輝きに満ちた美しい作品を作りたいとの思いから出発しました。四百年続く有田焼の伝統を基礎に、三十年以上に渡る研究と試行錯誤によって、作家の発想と色彩へのこだわりが昇華した独自の表現技法が実現しました。

陶彩画は、一般的な陶板画(陶板の上に絵を転写したもの)とは別物であり、白い陶板の上に、転写技術を用いることなく釉薬で絵付けをしては焼成し、また別の色で絵付けをしては焼成し、合計十数回の窯入れを重ねて一枚の絵を完成させます。従来の有田焼では、最大で四回程度しか絵付け・焼成に耐えられなかったため、草場の試みは当初他の有田焼職人たちに無謀だと言われていたほど画期的なことでした。また、焼物は、鉱物が窯の中で溶け合ってできる文字通り化学反応です。釉薬によって、焼成に適した温度や焼き入れに耐えられる回数も異なります。望む色に辿りつくためにトライ・アンド・エラーを繰り返しました。有田焼の瑠璃色に惹きつけられて陶彩画のために新たに作り出した色「イマジンブルー」はその最たるものです。比較的最近の試みとしては、幻の輝きと讃えられる七色に変化するペルシャのラスター彩や、古代ローマのローマングラスの銀化現象を再現するなど、さらなる輝きを求めて今も制作を通じて研究が続けられ、技術は磨かれ続けています。

とはいえ、技術が全てではないのが陶彩画です。どんなに丹精込めて根気強く絵付けしても、計算し尽された配合の釉薬を準備しても、焼成温度をコントロールしても、窯入れのプロセスは文字通り「火に託す」ことです。自分の手の及ばない炉に委ねた結果、不本意な出来に、表に出ることなく習作として埃をかぶるものも少なくない一方、作家の思惑や想像を遥かに凌駕する素晴らしい作品ができあがることもあります。窯入れは、自分のこだわりや執着を手放し自然の理に身を委ねることそのものです。窯の中で溶け合う釉薬が生み出す色彩はまさに奇跡。同じ色が生まれることは二度とありません。一つとして同じ作品はないのです。

そうしてできあがった唯一無二の陶彩画は、色あせることなく永遠に輝き続けます。